「妊娠中にハイドロキノンを使ってはいけないのはどうして?」
ハイドロキノンで妊娠中にできたシミを改善したいのに、”使ってはいけない”という情報を聞いて困っている方も多いのではないでしょうか。
当ページではそんな方のために、妊娠中の美白について解説していきます。
妊娠中のシミや黒ずみに悩んでいて、ハイドロキノンの使用を迷っている方はぜひ一読ください。
【この記事の監修医師】
ポートサイド女性総合クリニックビバリータ 院長
清水 なほみ 先生
2001年 広島大学医学部医学科卒業
広島大学附属病院産婦人科、中国がんセンター産婦人科、
ウィミンズウェルネス銀座クリニック虎の門病院産婦人科を経て、
2010年9月「ポートサイド女性総合クリニックビバリータ」を開業
婦人科・女性内科診療のエキスパート。
“心身の健康を自分の力で取り戻す”サポートに尽力し、多くの女性ユーザーから支持されています。
【所属学会・認定医など】
日本産婦人科学会専門医、日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー
Contents
スポンサーリンク
【結論】妊娠中はハイドロキノン使用NG!考えられる副作用とは?
妊娠中はハイドロキノンの使用を控えてください。
ハイドロキノンを使うことでお腹の赤ちゃんに影響があるかどうかは明らかになっていません。
ですが、赤ちゃんへの安全性が確立されていないため、多くの医療機関で”妊娠中の使用を控えるように”と伝えられています。
妊娠希望・妊娠中・授乳中の方の使用は、安全性が確立させてないためお勧めできません。
ここからは、妊娠中のハイドロキノン使用によって考えられる副作用について説明していきます。
1、赤ちゃんに影響がある可能性があるから
ハイドロキノンには色素細胞への毒性があり、おなかの中の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。
ここで言う”毒性”というのは、メラニン色素を生成するメラノサイトを減少させる働きのこと。
普段の美白ケアでは必要な働きですが、妊娠中においてはリスクがないとは言い切れません。
お母さんが食べたもの・体に取り入れたものは、胎盤を通じてそのまま赤ちゃんへ送られます。
その過程で、肌に塗ったハイドロキノンも微量ながら血中を伝って赤ちゃんに回ってくる、という意見があるのです。
体が作られてる途中の赤ちゃんは、大人と比べて様々な影響を受けやすいので、妊娠中のハイドロキノンの使用が安全とは言い切れません。
✔妊娠中もハイドロキノンの使用OKとするクリニックについて
一部のクリニックでは、妊娠中・授乳期でもハイドロキノンの使用をOKとしている場合もあります。
やむをえず妊娠前後にハイドロキノンを処方してもらう際には、以下のことを気を付けましょう。
- 低濃度のものを使う
→純ハイドロキノン:1%未満
→安定型ハイドロキノン:3%未満 - 授乳期は赤ちゃんの肌に付かないよう気を付ける
自分がかかるクリニック・皮膚科には、必ず妊娠中であることを伝えてください。
2、肌荒れが起こりやすいから
妊娠中はホルモンバランスの崩れにより肌が敏感になるので、ハイドロキノンで肌荒れする可能性があります。
特に妊娠初期は、皮脂の分泌を促すプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンが活発になることで、ニキビや吹き出物ができやすくなるのです。
プロゲステロンが優位になることでホルモンバランスに変化があると、肌のターンオーバーも乱れカサカサと乾燥しやすい肌に。
妊娠中は肌の黒ずみが目立ってきますが、早くても出産まではハイドロキノンの使用を我慢するようにしましょう。
妊娠中のシミ・黒ずみはどうして現れるの?
妊娠中はプロゲステロンとエストロゲンという2つの女性ホルモンが増加します。
※どちらのホルモンも、女性ならではの体の仕組み(初潮から妊娠・出産、閉経まで)をコントロールする作用がある
これらのホルモンはメラノサイトを刺激・活性化させるため、妊娠前より以下のようなシミや黒ずみが現れやすい傾向が…。
- 顔のシミ(肝斑)
- 体の黒ずみ
- 正中線
- 妊娠線
ここからは、妊娠中に現れるシミ・黒ずみの原因と対策方法について解説していきます。
①顔のシミ
≫ホルモンが原因
妊娠中に顔へあらわれるシミで代表的なものは「妊娠性肝斑」と呼ばれるもの。
肝斑とはホルモンバランスの乱れにより起こるシミのことで、主に女性に多い症状です。
妊娠性肝斑は出産を経てホルモンバランスが元に戻ることで次第に薄くなっていきますが、ケアを怠っていると産後もなかなか消えないなんてことも…。
妊娠中のシミには、肝斑への効果が実証されているトラネキサム酸やコウジ酸がおすすめ。
どちらもメラノサイトに作用する成分で、女性ホルモンに作用する心配はありません。
②体の黒ずみ
≫ホルモンが原因
妊娠中に気になるのは、バストトップ・脇・陰部の黒ずみ。
- 皮膚が薄い
- 外からの刺激を受けやすい
- 元々メラノサイトが多い
という理由から、妊娠を期に黒ずみやすい3大部位です。
ただ肌のターンオーバー※が正常であれば、出産後に黒ずみは次第に薄くなっていくのでご安心を◎
※肌の生まれ変わりのこと。
保湿クリームや、部分専用の美白クリームを塗ることが有効です。
ただ授乳期はバストトップにクリームは塗らず、断乳後に使うようにしましょう。
③正中線
≫ホルモンが原因
正中線とは、妊娠することでお臍の下にくっきりと現れる薄茶色の一本線のこと。
受精して細部分裂をしているときの名残だとされ、男女問わず誰にでもあるものですが、普段は見えないほどの薄さで存在しています。
それが妊娠のメラニン増加と同時に色濃く目立ってしまうのです。
通常は出産後半年~1年ほどで薄くなっていくので、普段から美白クリームで優しくマッサージをしておくといいですね。
④妊娠線
≫お腹が急に大きくなることが原因
妊娠線とは妊娠によりお腹が大きくなっていくことで、皮膚が成長についていけずに現れる亀裂のことです。
この亀裂は青~赤紫色でボコボコと凹凸があり、かゆみ・痛みを伴う場合も。
妊娠線はメラニンによるシミや黒ずみとは違うので、美白化粧品で改善することはできませんが、事前にしっかり保湿を行うことで予防できますよ。
妊娠4ヶ月程度のまだお腹の大きさがあまり目立たない頃から、たっぷりと保湿剤を使ってください。
特に下腹部、胸の周り、お尻周りを中心にケアしてみましょう。
妊娠中の黒ずみ・シミをどうにかしたい!~かんたん美白ケア4つ~
ここでは、妊娠中に現れるシミ・黒ずみの予防・改善法について解説していきます。
ハイドロキノンが使用できない妊娠中は、以下の美白ケアを心がけましょう。
①紫外線対策を欠かさない
基本的な事ですが、シミを作らせないためには紫外線対策は鉄則です。
なぜなら妊娠中でホルモンバランスが不安定な時は、特にメラニンが生成されやすくなるから。
妊娠中などホルモンバランスが不安定な時もメラニンが生成され「シミ」ができやすくなります。
シミを作らせないためにも、UVケアを念入りに行いましょう。
- 日焼け止めはこまめに塗り直す
★SPFは20程度が肌に優しい - 帽子、日傘、長袖を使う など
シミ予防のためにもできれば避けたい紫外線ですが、まったく紫外線を浴びないのは生まれてくる赤ちゃんの骨に影響を及ぼします。
というのも、紫外線を浴びることで生成されるビタミンDは、カルシウムの吸収を助けて健康な骨や歯を作るのに必要な成分だから。
ビタミンDが欠乏すると、骨折しやすくなったり、骨がゆがんでしまう「くる病」という病気の原因になりかねません。
適度に日差しを浴びることが大切ですが、紫外線による日焼けやシミなども気になりますよね。
そのような場合は、「手のひらだけ太陽にあたるようにする」だけでも効果的。
シミができてもあまり気にならない部分で、紫外線を浴びるようにしましょう。
②保湿をしっかり行う
肌を保湿することは、シミの予防に繋がっています。
というのも、うるおいのある肌はそもそも、肌のバリア機能を担う「皮脂」「角質細胞間脂質」「天然保湿因子」がきちんと保たれている状態。
この3つの成分を保湿によって保つことで、紫外線など外部刺激によるメラニン増殖を抑制してくれるのです◎
皮膚のうるおいは「皮脂」「角質細胞間脂質」「天然保湿因子」の3つの物質により保たれています。(中略)乾燥した皮膚ではこのうるおいを保つ3つの物質が少なくなって、皮膚の表面に隙間ができ、外からの刺激を受けやすくなります。
妊娠中は以下の保湿成分を意識するといいでしょう。
どちらも元々人の体に備わっている成分なので、サプリメントなどで無理な過剰摂取をしないかぎり副作用の心配はありません。
③やさしい美白化粧品でケア
妊娠中は肌が敏感になるので、刺激のマイルドな美白化粧品ででケアするのがおすすめ。
化粧品を選ぶ際は敏感肌用と書かれたものを目印にするのがオススメ。
先に化粧品のサンプルをもらえると、自分の肌に合うか合わないかが事前に分かって便利ですよ。
また、使用する際はパッチテストをして自分の肌との相性を確かめてみましょう。
《パッチテストのやり方》
- 化粧水やクリームを1円玉くらいの量でコットンにつける
- 腕の内側などに24時間貼っておく
- 問題なければ使用OK
妊娠中に推奨されない化粧品の成分について
化粧品の中には、妊娠中に使うことで催奇形性があったり肌荒れの元となる成分があります。
✔催奇形性のリスクがある ✔刺激が強く肌荒れの元になる
妊娠中に化粧品を選ぶ際は、上記の成分が含まれないアイテムを選ぶのがベターです。
④ビタミンCを意識的にとる
肌の不調が起こりやすい妊娠中は、できるだけビタミンCの摂取を心がけましょう。
ビタミンCにはシミの原因である活性酸素を抑えるだけでなく、免疫力を上げて風邪を防ぐ効果が期待されています。
極度の肉体的ストレスを短期間受けた人(マラソン走者、スキーヤーを含む)598人が参加した5つの試験では、ビタミンCによって風邪のリスクが半分に低下した。
(出典:ビタミンCによる風邪の予防および治療)
妊娠中は体の変化による体調不良・ストレスなどで、特に風邪をひきやすくこじらせやすいので、ぜひ意識的にとりたい成分ですね。
ちなみに妊婦さんは、1日110mg程度のビタミンCを摂取することが推奨されています。
これは、いちご(1つで約10mgほど)に換算すると6個ほど。
サプリメント※で摂取しても構いません。
※用法内であれば、ビタミンCの摂取によって赤ちゃんに影響があるということは考えられにくいです。
【美白ケアの注意点】ハイドロキノンの使用は、断乳後からOK!
ハイドロキノンを安心して使用できるのは、出産後、赤ちゃんが乳離れ※してからです。
※乳離れの時期に明確な基準というものはありませんが、だいたいの断乳の目安は1歳半と言われています
母乳を与えず粉ミルクだけを与える場合も同様に、ハイドロキノンの使用は可能。
使用時は以下のことを守って安全に美白ケアしてきましょう。
①保湿をしっかり行う
出産後は肌の乾燥、肌荒れが起こりやすいので、ハイドロキノンの刺激を抑えるためにもしっかり保湿しましょう。
あまり手の凝ったスキンケアを行えない場合は、オールインワンのクリームやジェルでも大丈夫です◎
②濃度の低いハイドロキノンを選ぶ
ハイドロキノンを選ぶ際は、できるだけ濃度が低く刺激の少ないものを選びましょう。
濃度は下記を参考にしてください。
- 純ハイドロキノン:~1%
- 安定型ハイドロキノン:~3%
ハイドロキノンの濃度が低いと漂白効果は落ちますが、肌への刺激が和らぐので肌荒れを事前に防げます。
最後に、妊娠中のハイドロキノン使用・美白ケアについてもう一度おさらいしましょう。
✔妊娠中のハイドロキノン使用を控えるべき理由
- 赤ちゃんに悪影響がある可能性があるから
- 妊娠中は肌荒れしやすいから
✔妊娠中・授乳期にハイドロキノンを使う場合
- 低濃度のものを使う
- 授乳期は赤ちゃんの肌に付かないように
※ハイドロキノンを安全に使用できるのは断乳後
赤ちゃんへの悪影響が報告されていないとはいえ、妊娠中のハイドロキノンの使用は避けるのが吉。
やむをえず使用する場合は、注意点を意識して安全に使っていきましょう!
■参考文献
居原田 麗,
『特集 第45回日本女性心身医学会学術集会報告 妊娠と美』,
女性心身医学21巻(2016-2017) 3号,p. 290-294.
スポンサーリンク