ひとことで「美白成分」といっても、何百もの種類があります。
ビタミンC誘導体やトラネキサム酸、ハイドロキノンなど、パッと思い浮かべてもどれが効くのか悩みますよね。
だからこそ、「シミを消したい」「トーンアップしたい」といった悩みごとに効果的な成分を選ぶのが大切。
むやみに美白アイテムを買う前に、美白成分について一緒に学んでいきましょう◎
【この記事でわかること】
- 厚生労働省の認可を受けた成分=美白有効成分
- 美白成分の3つのはたらき・特徴
- アルブチン、トレチノイン…どれを選ぶべき?代表的な美白成分6つの効果
Contents
スポンサーリンク
美白有効成分の種類と役割3つ
そもそも美白有効成分とは、厚生労働省の認可を受けている成分のこと。
「メラニンの生成を抑え、シミやソバカスを防ぐ」
あるいは「これに類似した効能を表示することが認められた成分」
と、定義されています。
厳しい審査のもと、認可された美白成分だけでも20種類以上。
そこに未認可ながら安全性・有効性を証明された美白成分も加えると、数百種類にも登るんですね。
さらに美白成分は、大きく3種類の効果に分けられます。
- これからできるシミを予防する効果
- 濃いシミの色を薄くする効果
- 今あるシミを排出する効果
①メラニンの生成を防ぐ(シミを予防する)
美白成分は、メラニンの生成を防いでシミを予防する効果があります。
- ケラチノサイト/メラノサイト(※)の働きを阻害して、メラニンを作らせない
※紫外線や摩擦などの外部刺激によってメラニンを生成する肌細胞。 - チロシナーゼ酵素の働きを阻害し、メラニンを黒く変色させない
そもそもシミは、主に紫外線によって肌細胞で作られたメラニンが黒くなった状態。
美白成分は「メラニンを作らせない・発生したメラニンを黒く変色させない」という作用が期待できます。
シミ予防に有効な美白成分はトラネキサム酸やアルブチン、コウジ酸が代表的です。
特に紫外線による刺激から肌を守り、メラニンの生成・変色を防止してくれます。
②メラニンを還元する(シミを薄くする)
美白成分には、すでにできてしまったシミの色を薄くする効果もあります。
すでに黒く変色したメラニンを還元(無色化)して、シミやくすみを改善します。
もともとメラニンとは、チロシンという淡色のアミノ酸が黒くなったモノのこと。
チロシン⇒ドーパ⇒ドーパキノン⇒メラニン
と、淡色から褐色へだんだん変色してシミになります。
美白成分が作用することで、ドーパキノン→ドーパ…と少しずつ元の薄色へ逆戻りさせていきます。
還元作用のある美白成分といえば、ハイドロキノンが代表的。
シミや肝斑、ニキビ跡といった濃いめの色素沈着の解消も期待できます。
③ターンオーバー促進でメラニンを排出する(シミを濃くしない)
すでにできてしまったシミを濃くさせないのも、美白成分の効果。
肌のターンオーバーを促進することで、メラニンが沈着した角質を排出します。
(参考:ターンオーバーと美白の関係性とは?今すぐできる肌の生まれ変わりを助ける方法)
不規則な生活やストレス、加齢によって、積み重なった古い角質を剥がしてくれるんですね。
代表的な美白成分は、ビタミンC誘導体。
ターンオーバーを整えるだけでなく、毛穴開きや肌荒れの改善によって美肌ケアもできます。
代表的な美白成分の効果6つ
ここからは、代表的な美白成分6つを紹介していきます。
改善・予防に分けて解説しているので、それぞれ効果をチェックしてみてください。
※タップ・クリックでスクロールします。
- アルブチン
- トラネキサム酸
- ビタミンC誘導体
- ハイドロキノン
- コウジ酸
- トレチノイン
アルブチン(予防)
アルブチンは、これからできるシミ・日焼けの予防に効果的。
メラニンを作るチロシナーゼ酵素の働きを抑制し、肌のくすみを防いでくれます。
そもそもアルブチンは、ハイドロキノンとブドウ糖を結合させた成分。
ハイドロキノン誘導体とも呼ばれ、漂白効果の高さも折り紙つきです。
ただハイドロキノンに比べて肌への刺激もゆるやかで、敏感肌でも使えるのがポイントです。
ビタミンC誘導体と併用すると、効果を引き出せますよ。
ただし、すでにできてしまったシミには効果がないので注意してください。
1)β-アルブチン
ツツジ科のハーブに含まれている成分。
一般的に「アルブチン」として使用され、安価で手に入り安いのがメリット。
2)α-アルブチン
βアルブチンより新しく開発された成分。
メラニン合成の阻害率はβ-アルブチンの10倍以上で効果が高いのがメリット。
どちらも「シミやくすみの原因になるメラニンを作らせない」という作用は変わりません。
ただα-アルブチンは値段がやや高い分、美白効果も高いのはたしか。
効果の実感力を求めるなら、α-アルブチンを選ぶのがベターでしょう。
トラネキサム酸(予防)
トラネキサム酸は、抗炎症作用によってシミを予防・悪化を防ぐ成分です。
特に赤みのあるシミの色を濃くさせない効果が期待できます。
そもそもシミとは、細胞が弱い炎症を起こしている状態。
炎症を起きているとメラノサイトが活性化し、メラニンをどんどん作り続けることに…。
トラネキサム酸は炎症を引き起こす”プラスミン”という酵素の働きを抑えることで、肌を美白してくれます。
また肝斑(かんぱん)の改善にも有効なので、30代以上の女性の方におすすめです。
ビタミンC誘導体(改善)
ビタミンC誘導体は、今あるシミや日焼け跡を薄くする成分。
ターンオーバーを活性化しメラニン排出を促すことで、角質層に残ったシミやくすみを除去してくれます。
また美白だけでなく、肌老化を防ぐ美肌効果も高いのが特徴です。
- シミやシワの予防
(抗酸化作用により肌の老化を抑制) - 毛穴開きの改善
(皮脂の分泌をコントロール)
ただし、肌が乾燥しやすいというデメリットも…。
特に乾燥肌の方は、しっかり保湿ケアするようにしてくださいね。
ハイドロキノン(改善・予防)
ハイドロキノンは、今あるシミを薄くして悪化を防ぐ効果がトップクラスの成分。
シミ消しだけでなくこれからできるシミも予防できる、一石二鳥の漂白作用を期待できます。
- 褐色化したメラニンを還元する
⇒メラニン色素を薄くする(還元作用) - チロシナーゼの働きを抑制する
⇒メラニン生成を阻害する
シミだけでなく、アトピー肌やニキビ跡といった色素沈着・黒ずみの改善にも効果的です。
ただ美白効果が高い分、赤みやかゆみ、白斑など副作用が出やすいのがネック。
目的や肌質に合わせて、濃度や種類を使い分けるのが安全に使うコツですよ。
ハイドロキノンは、大きく分けて2種類に分けられます。
- 純ハイドロキノン…純度100%のハイドロキノン
- 安定型ハイドロキノン…純ハイドロキノンに他の成分と混ぜ合わせ、安定化させたハイドロキノン
純ハイドロキノンは酸化しやすく刺激が強いですが、美白効果が高いのがメリット。
一方で安定型ハイドロキノンはやや美白効果は劣る(※)ものの、酸化しにくく低刺激で使えます。
※純ハイドロキノンの30%程度。
種類によって同じ濃度でも美白効果や刺激性が異なるので、肌質に合ったアイテムを選ぶのが大切です。
コウジ酸(予防)
コウジ酸は、これからできるシミの予防に効果的な成分。
チロシナーゼが働くために必要な銅イオンを奪うことで、メラニンを黒く変色するのを防止します。
さらに黄ぐすみにも効果的で、糖化によるAGEs※の発生も抑制する働きも◎
※体内のタンパク質と、食事で摂取した糖が結びつくことで発生する老化原因物質
(参考:肌の老化は「糖化」が原因!知らないとヤバイ《抗糖化食品・糖化した肌の再生方法》)
顔全体のトーンアップをしたい・くすみが気になるという方にオススメです。
トレチノイン(改善)
トレチノインは、古い角質を排出してシミを改善する成分。
肌のターンオーバーを促進させて、メラニンを沈着した層を排除してくれます。
ビタミンA誘導体ともいわれ、アメリカでは皮膚の若返り薬としても知られていますよ。
美白以外にも、肌のコンディションを整える美容効果も期待できます。
またトレチノインは、ハイドロキノンと併用するとより美白効果を高められます。
ただどちらも肌への刺激が強い成分なので、皮膚科で処方してもらうのがオススメです。
【美白成分の作用・種類まとめ】改善・予防で使い分けて美白しよう
美白成分には様々なアプローチがあり、成分によって性質も大きく変わります。
最後に、目的ごとにピッタリな美白成分をまとめておきましょう。
- 今あるシミを薄くしたい方
→ハイドロキノン/トレチノイン - シミが出来るのを予防したい方
→アルブチン/コウジ酸/トラネキサム酸 - 肌をトーンアップをしたい方
→アルブチンとビタミンC誘導体のW使い - 黄ぐすみを改善したい方
→コウジ酸 - 赤みのシミを薄くしたい方
→トラネキサム酸
上記を参考に、自分の悩みや目的に合った美白成分探しに役立ててみてくださいね。
■参考文献
水野 優起,
『第18回都民公開講座《皮膚の健康―皮膚をいかに若々しく保つか―》顔がシミだらけにならないようにするためのお話』,
順天堂医学52 巻 (2006) 3 号,p. 437-442.
渋谷 文則, 石井 美津子, 小峰 幸子, 海老 沼広, 高田 裕子, 大森 喜太郎,
『12P-7-48 ヒドロキノンおよびトレチノイン軟膏のメラニン色素沈着症への適用 : 治療期間短縮を目指して』,
日本病院薬学会年会講演要旨集8 巻 (1998),p. 220.
村上 富美子, 溝口 昌子,
『色素異常症(色素沈着症)―いわゆるシミを中心として―』,
日本皮膚科学会雑誌/114 巻 (2004) 14 号,p. 2305-2310.
竹内 勝, 今井 利一, 麻生 和雄, 岡本 昭二, 小林 健正, 内海 滉, 斉藤 総明, 竹内 達, 近藤 省三, 川瀬 健二, 滝沢 英夫,
『皮膚色素異常沈着症とビタミンCについて : (I)メラニン生成とビタミンCの関係』,
ビタミン28 巻 (1963) 6 号, p. 501-507.
Kazuhisa Sugimoto, Takahisa Nishimura, Takashi Kuriki,
『α-アルブチンの開発 : 工業スケールでの製造および美白化粧品原料への応用』,
Trends in Glycoscience and Gly …/19 巻 (2007) 110 号, p. 235-246.
山下 裕司,山崎 舞,瀧澤 毅,辻野 義雄,広常 正人,田上 八朗,坂本 一民,
『日本酒濃縮物の経口摂取による皮膚性状の変化』,
千葉科学大学紀要(2014)7号. p.97–104.
東 禹彦,
『肝斑に対するトラネキサム酸療法』,
皮膚30 巻 (1988) 5 号, p. 676-680.
スポンサーリンク