ワセリンはどんな成分の保湿剤?原料は石油?肌への効果や副作用まで解説

ワセリンはどんな成分の保湿剤?原料は石油?肌への効果や副作用まで解説

“全身に使える保湿剤”の代表、「ワセリン」。
乾燥肌のスキンケアはもちろん、肌の水分不足によるニキビやアトピー症状のサポートにも効果的♪

普段づかいしている人も多いワセリンですが、実は4種類もあるって知っていましたか?

今回はコスメコンシェルジュのFusakoさんワセリンの効果や副作用、意外と知られていない使いみちをお伺いしました!
ワセリンの正しい使い方も知っておけば、今よりもっと効果的に使えること間違いナシです。

【この記事のアドバイザー】

 

美容ライター・コスメコンシェルジュ Fusako

コスメコンシェルジュ/美容ライター/栄養士
Fusako さん

1990年生まれ。
美容ライター/栄養士/医薬品登録販売者。

短期大学卒業後、栄養士の資格を取得。
ドラッグストアに勤務し、医薬品登録販売者の資格を取得。

結婚を機に、美容ライターとして美容/健康食品等の商品レビュー、美容サロン・クリニックの体験記事の執筆経験のあるFusakoさん。
美容系インスタグラマーをはじめ、ブログ・Twitter・YouTubeなど幅広いSNSメディアで活躍中です。
現在は夫の転勤で海外に在住し、アメリカの生活事情についても発信していらっしゃいます。

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【この記事でわかること】

  • ワセリンの主成分は石油
  • ワセリンの種類は純度によって4種類に分けられる
  • ワセリンは”うるおい成分を閉じ込めるサポート役”として使うのがベスト
  • ワセリンに発がん性や日焼けなどの副作用はなし
  • クレンジングや摩擦防止など、保湿以外の使い道もアリ◎

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【ワセリンとは?】成分が石油ってホント?

ワセリンとはどんな保湿剤? 石油を原料に精製したもの 肌を油の膜で覆って水分蒸発を防ぐ

そもそもワセリンとは、石油を原料に精製したもの
なんだか体に悪そう…と心配になりますが、天然由来の原油から精製しているので肌に塗っても安全です◎

むしろ、肌への刺激性が少ないことが大きな特徴。
医薬品として利用(※)されるほど効果・安全性が保証されています。
※参考:KEGG MEDICUS

  • 肌・髪の保湿
  • 軟膏の主成分
  • 赤ちゃんのスキンケア

など、体の潤いを守る成分として幅広く活用されているのがその証拠です。

ワセリン・ヴァセリン・プロペトの違い

一口にワセリンといっても、純度によって4種類に分けられます。

  • 黄色ワセリン:ワセリンの中で1番純度が低く、原材料に1番近いワセリン
  • 白色ワセリン:黄色ワセリンを精製した一般的なワセリン
  • プロペト:白色ワセリンをさらに精製したワセリン(医療用医薬品)
  • サンホワイト:ワセリンの中で1番純度が高いワセリン(化粧品)

とはいえ、どれも名前が違うだけで原材料はワセリン。

ちなみに青いパッケージで有名な海外製の『Vaseline(ヴァセリン)』は、ユニリーバ社が売っているワセリンだけを指します。

一般的にワセリンと言えば白色ワセリンのことで、たとえばプロペトは市販薬に使われています。

白ワセリンの中でも、肌に低刺激なのが純度の高い『サンホワイト』。
赤ちゃんのスキンケア口元・目元に使うなら、サンホワイトをベースにしたワセリンクリームを選んでみてください。

ワセリンの保湿効果の仕組み

保湿の代表格ですが、実はワセリン自体には肌に潤いを与える効果はありません

油の膜で皮膚を覆って水分蒸発を防ぐことで、保湿する仕組みです。
カンタンにいうと「肌の表面をフィルムで包んで、体の中の水分を閉じ込めてくれる」イメージ。

とてもシンプルな成分と仕組みだからこそ、体にやさしい保湿剤だと言えるでしょう。

ワセリンには可燃性がある

ワセリンは石油が原料なので、火をつけると燃えます
ワセリン近くでの喫煙・火を使う料理には注意してください。

シーツや服にワセリンがついたら、必ず拭き取るようにしましょう。

【ワセリンの基本的な使い方】保湿効果を高めるポイントをチェック◎

ワセリンの保湿効果を高めるポイント 先に潤いを与えておく 化粧水 乳液

ワセリンは顔や唇、全身に塗って保湿するのにもってこいです。

ただしワセリンの保湿効果を最大限に高めるには、先に潤いを与えておくのがポイント。

  1. ワセリンを塗布する前に化粧水・乳液で潤いを与えておく
  2. ワセリンを手で伸ばしながら温めて塗る
  3. ワセリンを塗るときは“米粒2粒ほど”を少しずつ塗る
  4. 擦り付けず“ポンポン”と押し当てるように塗る

上述の通り、ワセリン自体に潤い作用はないので、もともと乾燥した肌に塗っても効果を高められません。
化粧水・乳液で先に潤いを与えておくことで、ワセリンで閉じ込める水分を増やしてあげるのがベストです。

またワセリンは量が多いとベタベタして、ホコリが肌につきやすくなります。
一度に大量に塗るのではなく、少量ずつ薄く塗るのがコツです。

目元などデリケートな部分にワセリンを塗るときは、綿棒を使って塗ると目に入る恐れがありません。

Fusakoさん

ワセリンは乾燥対策にオススメ。

私自身は、唇の乾燥や皮がむけそうな時に利用していました。

少量でも伸びが良く、ベタつくため少しずつ取り出していくようにしましょう。
塗りすぎてしまうと肌がテカテカになり、ベタベタが気になるため注意してくださいね。

外部刺激から肌を守ってニキビ・アトピーを予防

ワセリンは外部刺激から肌を守る効果もあるので、ニキビやアトピー肌の予防にもおすすめ。

実際にクリニックでも、ワセリンを使ったアトピー予防が推奨されています。

ワセリンなど、保湿剤を使ってなるべく皮膚の乾燥を防ぎ、保護してあげることが大切です。

(出典:かめさきこども・アレルギークリニック)

そもそも肌の水分には、肌を守るバリア機能があります。
しかし、肌が乾燥するとバリア機能が低下。
乾燥肌になると外部刺激を直に受けやすい状態になるので、アレルギー物質や雑菌の影響が出やすくなるというわけです。

そこでワセリンで保湿効果を高めると、バリア機能が補われてニキビやアトピーの症状緩和が期待できます。

もちろんニキビ・アトピー予防のときも、先に化粧水・乳液で潤いを与えてからワセリンを塗ってください。

Fusakoさん

実は私自身もアトピーではなかったのですが、肌の調子が悪くて頬が赤く痒みがある時期がありました。
化粧水も物によっては合わず、どうしたら良いか悩んでいた時にワセリンを使用していましたが、使って良かったなと感じています。

ただし、塗りすぎるとべたつきが気になり、ホコリがつくこともあります。
寝る時にはワセリンが枕についてしまうことがあるので、優しく薄く伸ばすことを意識してみてくださいね。

【ワセリンは副作用】基本的に安全性や発がん性に問題なし

ワセリンに副作用なし 油焼け✖ 発がん性✖ ワセリンは赤ちゃんにも使える安全な保湿剤

ワセリンを使用したことによるしても、基本的には大きな副作用はナシ。
過去の研究でもワセリンの皮膚への安全性は証明されています。

先行研究ではワセリンは様々な軟膏の基剤となっており、皮膚への安全性が証明されている。

(出典:時間の検討 ワセリン塗布による皮膚保湿時間の検討)

また石油が原料ですが、ワセリン塗布による発がん性は認められていません
(参考:JUNSEI 安全データシート)

ただしごく稀に接触性のアレルギーで、かゆみや湿疹を起こす方がいらっしゃいます。
敏感肌で接触性皮膚炎を引き越しやすい方は、パッチテストを行うようにしましょう。

ワセリンで日焼け(油焼け)はしない

「ワセリンを塗ると日焼け(油焼け)する」という情報もありますが、ワセリンの影響で日焼けすることはありません

ワセリンを塗って日焼けしたように感じるのは、ワセリンが紫外線で酸化すると黒ずむ性質があるから。
特に精製度の低い「黄色ワセリン」は酸化しやすく、紫外線にあたることで色が変化してしまうんですね。

ワセリンの酸化の欠点を解消できるのが、『サンホワイト』というワセリン。
サンホワイトは1週間そのまま放置しても変色しないほど酸化に強いです。
(参考:アクア調剤薬局)

紫外線の多い夏場でもワセリンを塗られる方は、高純度のサンホワイトを使ってください。

赤ちゃんに使用するときは「塗る量」に注意

上述の通り、赤ちゃんにワセリンを塗っても問題ありません
乳児の「乳児湿疹」といった症状の緩和や保湿に役立ちます。

ただし赤ちゃんの中には、ワセリンでかゆみを感じる場合もあるので注意が必要です。

これは成分による影響ではなく、ワセリンが皮膚を覆うことで熱がこもるから。
ワセリンが膜になると体温が逃げにくくなり、かゆみを起こしやすくなります。

赤ちゃんがワセリンを塗布した部分を掻いていたら、塗る量を減らしてみてください。

もしくはベビークリームに変えて、慎重に様子を見るようにしましょう。

ワセリンのスキンケア・保湿以外の使いみち6つ

保湿クリームって中身を全て使いきれない時もありますよね。
スキンケア以外にもワセリンは応用できるので、保湿以外でもどんどん使ってみましょう。

  • 花粉による肌荒れ対策
  • 角栓・毛穴のつまりを解消
  • 靴擦れなどの摩擦防止
  • 髪のケアや艶出しに活用できる
  • 切り傷の治癒と保湿
  • 火傷部分への細菌侵入を防ぐ

①花粉による肌荒れ対策

ワセリンの使い道① 花粉による肌荒れ対策 ワセリンが肌に膜を張り、バリア機能を高める

ワセリンは皮膚に膜を張る役割があるので、花粉によるアレルギー皮膚炎の対策になります。

上述したように肌が乾燥しがちな人はバリア機能が低いので、外部刺激を受けやすい状態。
花粉の影響も受けやすいので、皮膚を守るバリア機能を高めることが重要です。

ワセリンを塗ることで皮膚を保護できるので、花粉をブロックして肌荒れの予防が期待できます。

Fusakoさん

私自身も花粉症を持っているため、花粉の時期は肌の調子が悪いことがあります。

鼻水がたくさん出て鼻の下あたりが赤く腫れて痛い時に、皮膚の保護のためによく利用していました。
塗りすぎるとマスクの中でベタベタして気持ち悪いので、適量を薄く伸ばして使ってくださいね。

②角栓・毛穴のつまり解消

ワセリンの使い道② 角栓・毛穴のつまり解消 ワセリンが皮脂と混ざってつまりを取り除く

ワセリンは不純物の少ない油なので、皮脂と混ざりやすいのが特徴。

角栓のできた部分にワセリンを塗って洗い流すことで、毛穴のつまりを取り除くことも期待できます。

◎ワセリンを使った毛穴パックのやり方

  1. 洗顔で顔の汚れを落とす
  2. 化粧水で肌を整える
  3. 毛穴の角栓が気になる部分にワセリンを塗布
  4. 20分ほど経ったら塗った部分を洗い流す

いちご鼻で毛穴のつまりが気になる方は、お風呂上がりにワセリンで毛穴パックしてみてください。
※皮膚を温めると毛穴が開きやすくなるので、お風呂上がりがおすすめです。

 

ワセリンはクレンジングにも応用できる

先でお伝えした通りワセリンは他の油分と混ざりやすい性質があるので、クレンジングにも応用できます。

ワセリンを馴染ませると、マスカラや口紅がワセリンと中和。
そのままワセリンと一緒に洗い流しやすくなります。

ちょっとしたメイク程度なら落とせるので、ワセリンが余っているときは活用してみてください。

③靴擦れなどの摩擦防止

ワセリンの使い道③ 靴擦れなどの摩擦防止 ワセリンのぬめりが摩擦の痛みを軽減

ワセリンは塗りすぎるとヌルヌルしますが、それが潤滑剤になることで靴擦れ防止剤としても使えます

特に靴擦れしやすいヒールを履く方は、ワセリンで摩擦ケアしてみるといいでしょう。

新しい靴を履く前やランニング前に、かかとにワセリンを塗布するだけでOK。
擦れによる肌への負担を軽減できるので、痛みを抑えられます。

④髪のケア・ツヤ出し

ワセリンの使い道④ 髪のケア・ツヤ出し ワセリンを毛先に少し塗るだけでパサつき予防に

ワセリンの保湿作用は肌だけでなく、髪のトリートメントクリーム代わりとしても応用できます。

「髪がパサついてまとまらない」という方は、ワセリンを少量とって髪に塗ってみてください。
まとまりができてヘアセットがしやすく、枝毛も目立たなくなります。

またワセリンは、髪にツヤを与えるのにも効果的。
冬場など髪の乾燥が気になる季節は、毛先にちょっとワセリンを塗っておくだけでも髪のパサつき予防になります。

髪にワセリンを塗るときの留意点

髪のトリートメントやヘアセットにワセリンを使うときも、米粒ほどの量を少しずつ塗っていきましょう。
塗りすぎると髪がべたつき、テカテカと光沢感が出てしまいます。

また髪の保湿としてワセリンを塗るときは、タオルドライ後に塗ってください。
ドライヤー後だと、髪の水分が飛んでいて期待する効果が出ないこともあります。

ただヘアセットや髪にまとまりを与えるのが目的なら、ドライヤー後にワセリンを塗ってOKです。

⑤切り傷の治癒・保湿

ワセリンの使い道⑤ 切り傷の治癒・保湿 ワセリンが傷口を保護、治りが早くなる

ワセリンは切り傷の治療にも役立ちます。
傷口をワセリンが覆うことで細菌の侵入を防ぎ、治りが早くなるそうです。

実際、ワセリンを使った傷治療方法は病院でも推奨されています。

ラップを傷よりやや大きめに切り、ワセリンがあったらそれをラップに塗り、ワセリンの付いた面を傷に当てるのです。
(中略)こうすればすりキズなんて数日で治ってしまいます。

(出典:京都民医連中央病院)

傷口をワセリンで保湿することで、血液や浸出液が固まらずにかさぶたができにくくなります。

保湿による治療は、かさぶた治癒よりも早く治る&患部を綺麗に治せる方法。
ワセリン治療ならかさぶたやかさぶたの跡を気にせず、傷口をきれいに治せます。

Fusakoさん

私の場合、冬場の指のささくれ対策にも利用しています♪
保湿効果が高いワセリンは、皮剥けの悪化を防止してくれますよ。

ハンドクリームよりもテクスチャーに重みがあるので、取れにくいのもうれしいですね。
1つ持っておくと本当に助かるアイテムです。

⑥火傷部分への細菌侵入を防ぐ

ワセリンの使い道⑥ 火傷部分への細菌侵入を防ぐ ワセリンが傷を覆い、感染症を防ぐ

ワセリンは火傷(やけど)をした患部の保護にも応用できます。

やけどをすると、皮膚への大きなダメージからバリア機能が損失。
外部刺激を受けやすい状態ですが、ワセリンで皮膚を覆うことで患部への細菌侵入を防げるんですね。

やけどへのワセリンの塗布は、クリニックでも治療の一つとして応用されています。

やけどをすると、皮膚はバリア機能を失い細菌感染などを起こしやすくなりますが、ワセリンは「皮膚代わり」として真皮を守る役割を果たしてくれるからです。

(出典:Medical Note)

患部の乾燥もガードできるので、感染症を防いで患部をケアできます。

石油を原料としたワセリンですが、きちんと精製されたものなら油焼けの心配なく使用できます。
また副作用やアレルギーも起こしにくいので、赤ちゃんでも使えるほど安全な保湿剤。
化粧水や乳液後のスキンケアとして、ワセリンを取り入れてみてください。

さらに保湿効果以外にも様々な用途で応用できるアイテムです。

◎保湿以外のワセリンの使い道

  • 花粉による肌荒れ対策
  • 角栓・毛穴のつまりを解消
  • 靴擦れなどの摩擦防止
  • 髪のケアや艶出しに活用できる
  • 切り傷の治癒と保湿
  • 火傷部分への細菌侵入を防ぐ

傷の治療ヘアトリートメントにもワセリンは応用できるので、1つ持っていれば様々な場面で役立つはずです。

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