グリセリンとはアルコールの一種で、高い吸湿性があることから今では多くの化粧水に利用されています。
化粧水だけでなく、食品添加物や医薬品としても応用されている万能成分。
グリセリンの吸湿性は非常に優秀ですが、そのぶん肌への刺激もあります。
グリセリンの正しい扱いを知って、うつくしい素肌を手に入れましょう。
【この記事でわかること】
- そもそもグリセリンとは?ワセリンとの違いや種類
- グリセリン化粧水の効果
- サプリ・医薬品としての効果
- グリセリン化粧水の作り方(濃度・必要なもの・注意点)
- ニキビ肌やアルコールに弱い人は注意!グリセリンの副作用
Contents
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グリセリンとはどんな成分?
冒頭でお伝えした通りグリセリンとは、植物や動物に含まれるアルコールの一種です。
1779年にはじめてグリセリンは発見されコルクの製造などに利用されていました。
今では化粧品や医薬品など幅広く活用されています。
化学式だと「C3H8O3」となり、アルコールを示すOH分子が3つある“三価アルコール”。
三価アルコールは酸化しにくい特性があり、高級ワインなどにも利用されています。
またグリセリンは無色透明で“甘い”ことから、甘味料としても利用されていますよ。
人の体内では、グリセリン・脂肪酸から構成される「中性脂肪」として存在する成分です。
グリセリンはアルコールの一種なので、火をつけると燃焼します。
よく燃えることから爆弾の原料に使われるほど。
消防法でも危険物として扱われているので、グリセリン原液を使って化粧水を自作される方は管理に十分気をつけてください。
市販のグリセリンには2種類ある
実は一口にグリセリンといっても、大きくわけて2種類あります。
- グリセリン(濃度84%〜87%)
- 濃度95%〜100%の濃グリセリン
原料として生産されるグリセリンは濃グリセリン。
しかし高濃度のグリセリンは粘度が高く、ドロっとしているため商品として使いにくいです。
そのため通常の商品には、濃度を85%からそれ以下に薄めたグリセリンを配合しています。
濃度が低いグリセリンはサラッとしているのでスポイトでも吸いやすく、自作される方でも扱いやすいのが特徴です。
グリセリンとワセリンとの違い
グリセリンは「ワセリン」と同じモノと思われがちですが、そもそも作用が異なります。
- グリセリン:グリセリン自体が皮膚にうるおいを与える効果がある
- ワセリン:油で皮膚を覆うことで水分の蒸発を防ぐ
詳しい効果は後述しますが、グリセリンはそれ自体に肌にうるおいを与える性質があります。
一方で、ワセリン自体には保湿作用はありません。
肌に膜を張って、皮膚の水分が蒸発するのを防ぐだけです。
「すでに乾燥肌になっている⇒グリセリン」
「乾燥肌を予防したい⇒ワセリン」
と使い分けるのがおすすめです。
グリセリン化粧水を塗ったときの効果4つ
グリセリン配合の化粧水の効果でポイントとなるのが、グリセリンの吸湿作用。
水分を保持したままうるおいを補うことで、肌を整えてくれます。
- カサつき・乾燥肌を整える
- ニキビや肌荒れを予防・改善する
- 乾燥による小じわを目立たなくさせる
- ターンオーバーを整える
①高い吸湿性で乾燥肌にアプローチ
前述したとおりグリセリンには、カサついた皮膚に潤いを与える効果が期待できます。
保水性といえばヒアルロン酸も代表的ですが、グリセリンの特徴は「吸湿性」。
空気中の水分も吸水するので、空気に触れると水分量が増えて濃度が薄くなってしまいます。
それだけグリセリンの吸湿力は高いんですね。
乾燥した皮膚にうるおいを与え、水分・油分を補ってくれます。
乾いた土の上に濡れたスポンジを投げているイメージです。
「皮膚の水分まで吸水しない?」と不安になるかもしれませんが、化粧水に配合されるグリセリンは肌の水分を吸水しない濃度(15%以下)になっています。
②ニキビや肌荒れの予防・改善
グリセリンには、ニキビや肌荒れの予防・改善も期待できます。
皮膚をうるおして外部刺激のダメージをやわらげ、肌荒れを和らげてくれるんですね。
敏感肌や湿疹が出やすいといった肌トラブルでお悩みの方は、グリセリンで保湿するのをおすすめします。
③乾燥小じわを目立たなくさせる
グリセリンには、乾燥による小じわを目立たなくさせる効果もあります。
野菜やフルーツを乾燥させると縮んでシワシワになるように、ヒトの皮膚も乾燥するとキュッと縮んで細かいシワができやすくなります。
こまめにグリセリンで皮膚にうるおいを与えれば、肌にハリが生まれてシワが目立ちにくくなるというわけです。
乾燥小じわを放置しているとシワが深くなっていくので、今のうちからグリセリンで保湿ケアしてみてください。
④肌代謝(ターンオーバー)を整える
グリセリンで肌の水分を保つことで、ターンオーバーを整える効果も期待大。
(参考:ターンオーバーとは?今すぐできる肌の生まれ変わりを助ける方法)
角質層の水分量が低下すると、ターンオーバーの乱れを招きます。
ターンオーバーが乱れると新しい肌細胞が生まれにくくなり、肌トラブルの引き金になりかねません。
乾燥肌が続くと肌の老化を早めてしまうので、グリセリンで保湿して皮膚のうるおいを補っておくのがベターです。
グリセリン化粧水の作り方と濃度について
グリセリン原液は薬局やネット通販で手に入れられ、水と割ることでオリジナルのグリセリン化粧水を作ることができます。
自分の肌質にあったグリセリン濃度でブレンドできることが大きなメリットです。
グリセリン化粧水の作り方と材料は下記のとおり。
基本的には水とグリセリンを混ぜるだけなので、誰でも簡単につくれますよ。
【材料】
◎濃度5%のグリセリン化粧水の場合
- 精製水:95ml
- グリセリン原液(濃度85%程度):5ml
◎濃度10%のグリセリン化粧水の場合
- 精製水:95ml
- グリセリン原液(濃度85%程度):10ml
【作り方・手順】
- 雑菌繁殖を防ぐために化粧水を入れる容器を熱湯消毒などしておく
- 精製水とグリセリン原液を容器に入れる
※入れるときは、容器口に手を触れないようにしましょう。 - 原液と精製水が溶け合うまで容器を振って溶かす
グリセリンを薄める濃度は5〜10%が適切です。
原液を水で何倍で割るかによって化粧水の濃度が変わるので、5〜10%の間で好みの濃度を見つけてみてください。
例)濃度7%のグリセリン化粧水を作る場合
グリセリン原液(濃度85%)を5ml配合するなら、85(%)÷7(%)=12倍
そのため5mlの12倍の水(60ml)で割る必要がある。
「既製品の化粧水の濃度は肌に合わない」という方は、グリセリン化粧水を自宅で作ってみましょう。
グリセリン化粧水を手作りするときの注意点
自宅でオリジナルのグリセリン化粧水を作る際は、以下の3つに注意してください。
- グリセリンを高濃度で配合しない
- 水道水で割らない
- 使い切れる量だけつくる
グリセリンが原因で乾燥肌を誘発しかねないので、高濃度での配合は控えてください。
また原液を割る水は、水道水ではなく「精製水」を使ってください。
精製水はドラッグストアで100円程度で手に入るので、グリセリン原液とあわせて購入しておきましょう。
防腐剤などを使用しない手作り化粧水は雑菌が繁殖しやすいので、1〜2週間で使い切れる量だけ作って使うと安全です。
※保存期間は季節ごとの気温や湿度によって異なります。
グリセリンには副作用の可能性もある
グリセリンはアルコールの一種なので、濃度によっては肌にあわない方もいます。
- 赤み
- かゆみ
- 湿疹
また「アレルギー症状は非常にまれ」とのことですが、アレルギー体質の方は特に化粧品を使う前にパッチテストを行ってください。
「グリセリンフリー」の化粧水が向いている人
グリセリン化粧水は肌への刺激が強いので、下記に当てはまる人は使用を避けるべきでしょう。
- ニキビ肌の人
- 敏感肌(特にアルコールに反応しやすい人)
ニキビ解消を阻害する可能性もあるので、ニキビ肌の人にはおすすめできません。
炎症しているニキビがある場合は、使用を控えましょう。
→ニキビの原因・対策が知りたい方はこちらをチェック。
またグリセリンはアルコールなので、敏感肌の方だと低濃度でもアルコール刺激によって顔が赤くなる可能性もあります。
特にアルコールに反応しやすい方は、グリセリン化粧水は避けたほうがいいでしょう。
体質的に合わなさそう…という方は、「グリセリンフリー」の化粧水を選んでみてください。
その名の通り、グリセリンが入っていない化粧品で低刺激なのが特徴です。
グリセリンは皮膚にうるおいを与えて補う成分で、肌が乾燥気味な方にオススメです。
◎グリセリン化粧水で期待できる効果
- カサつき・乾燥肌を整える
- ニキビや肌荒れを予防・改善する
- 乾燥による小じわを目立たなくさせる
- ターンオーバーを整える
自宅でグリセリン化粧水を作る方は、5〜10%の濃度を目安にオリジナル化粧水を作るといいでしょう。
ただし、高濃度だと逆に肌荒れを引き起こす可能性があるので注意してくださいね。
高保湿のグリセリンを味方につけて、スキンケアに励んでいきましょう!
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